●「続・知られざる日豪関係」(534)

「わたしと映画・南十字星」(84)


「オーストラリアの特攻隊」の続き


「グッドラック(幸運を祈る)」と言つていた。
 死にのぞんで淡々と挨拶する心境に、泣き叫ぶ以上の悲痛な心境が察せられて、私もまた涙した。
 しかし今さら姿をあらわす勇氣もなかつた。
 ページ大尉は一同を代表して日本軍の厚い待遇に感謝するという挨拶を述べ、
「この席に自分たちが最も感謝していた古田君が見えず、別れを告げることが出来ないのを残念に思う。
 どうか心から一同が感謝していたと傅えていただきたい」
 若々しいよく透る聲が聞える。
 私は胸が一杯になつた。