●「続・知られざる日豪関係」(533)

「わたしと映画・南十字星」(83)


「オーストラリアの特攻隊」の続き


 この文書は英国陸軍省のどこかに保存されているはずである。
 處刑の日、私は刑場へ行く勇気がなかつた。
 刑場の通譯を同僚の吉村君に頼んだ。
 しかし時刻がせまると、やつぱり私は落ちついていられなかつた.
 車を驅つて刑場であるブキテマ高地へいそいだ。
 私が灌木のかげから見ていると、最後の願いとして手錠をとかれ、お互い同志手を握り合つて別れを交わしている。
 誰も
「左様なら」
 とは云わなかつた。