●「続・知られざる日豪関係」(541)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


「訳者あとがき」の続き


 白豪主義を宣言して有色人種の植民を禁止していたオーストラリアに対する日本の批判的論調も聞こえてきたから、なおさらである。
 豪州海軍はその対策の一つとして、北部および北西部海岸を中心とする過疎地帯に、民間人の沿岸監視員を配置することを着想した。
 彼らの本職は郵便局長であったり港の管理人だったり、学校の教師、警官などさまざまだったが、無線機を持たせて異常があった時は、首都まで警報をリレーするようにした。
 この地域では日本軍が上陸してきても、一週間や十日は判らない、というほど人口が少なかったからである。