●「続・知られざる日豪関係」(542)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


「訳者あとがき」の続き


 のちにニューギニアとソロモンが追加され、第二次大戦が起った一九三九年秋の時点で、監視員の総数は八百人にふえていた。
 この本で監視組織の元締として登場してくるエリック・フェルトは、第一次大戦に参加して海軍予備大尉で退役、ニューギニアに渡って、ワウ金鉱山の所長をやっていた。
 第二次大戦勃発と同時に少佐で現役に復帰し、情報部長ロング中佐の下に配属され、ニューギニア、ソロモン地区を担当したのが、沿岸監視組織との縁の始まりであった。
 フェルトは有能な情報マンだったから、着任後直ちに担当地域を一巡して、メンバーを選定し、無線機と暗号の取り扱い法を教育し、二年足らずの間に強力なネットワークを確立する。