●「続・知られざる日豪関係」(551)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


「訳者あとがき」の続き


 第2次世界大戦中に小さな島で行われた日本とオーストラリアとの戦争を記したこの本の内容を理解していただくため、まず「訳者あとがき」を紹介した。
 今度は、「まえがき」に戻って、その「サマリー」を・・・。


 まえがき


 サンフランシスコの南西方六〇〇〇カイリ、赤道直下に横たわるソロモン群島 ── そこは一九四二年から四三年にかけて連合軍と大日本帝国が太平洋の覇権をめぐって死闘を展開した舞台である。
 しかし、今ラバウルからソロモンに飛ぶ観光客が、機上から戦争の痕跡を見つけ出すのはむつかしい。
 かつて数えきれぬほどの空戦がくり返された空は青く澄みわたり、時々白雲が静かに去来するだけで、砲声も銃声も聞こえない。