●「続・知られざる日豪関係」(556)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 イギリス海軍は無敵であるとか、アメリカの技術力の優越とか、日本は単なるものまね上手でしかないとか、西洋の軍人が本質的にもつ優越性、石油、スズ、ゴムなどアジアの諸資源は、少数のヨーロッパ列強が独占してよいのだという確信、何よりもこれら諸々の信仰の崩壊こそ軍事的敗北よりも一層深刻なものだったとも言えよう。
 こうした気楽な信仰が砕け散った時、連合軍は何とかしてこの絶望的災厄を説明しようと試みた。
 彼らは、日本の強力な空母機動部隊や不沈と信じられたイギリス戦艦<プリンス・オヴ・ウェールズ>と<レパルス>を撃沈した空軍の威力、快速を誇るゼロ戦の高性能には知らぬ顔で、代りに、日本軍の連戦連勝を奇襲やトリックやジャングルを猿のように走りまわる能力のせいにしていた。