●「続・知られざる日豪関係」(623)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 またこんなこともあった。
 マクファランの偵察員の一人が日本軍将校に話しかけられた。
 石本ではなかったが、やはり英語の上手な将校だった。
 偵察員は聞こえないふりをしたが、その将校は何気なく丘陵地帯にヨーロッパ人がいるかと尋ねた。
 偵察員が、「誰もいません。みな行ってしまいました」と答えると、アメリカで学んだらしいその将校は鼻を鳴らして、「ナンセンス」とつぶやいた。
 日本軍がガダルカナルの沿岸監視員たちについてかなりのことを知っているのは明らかだった。
 医者の助手のジョージ・ボーギスからむりやり聞き出して、それにおそらくラジオの傍受もやって知ったのだろう。