●「続・知られざる日豪関係」(625)
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”ステーキと卵”の続き
部下のケン・ヘイはスージーという名の雑種の雌犬を飼っていたが、その糞をゴールドリッジに通じる道にまいておけば、どんなブラッドハウンド犬もそのにおいには近づかないとされていた。
しかし実際には日本軍は監視員たちを追うのに犬を使わなかったので、この理論は実験されずに終った。
どうやら噂のもとは、日本軍が飛行場施設を守るのに番犬を使っていたかららしい。
アオラの背後のパリパリオ丘陵にいたクレメンズも何回か恐怖の思いを経験した。
七月四日、日本の哨戒艇が七マイルしか離れていないタイボ海岸に上陸して来るという報せが届いた。
彼らは直ちに見張りを二倍にふやし、翌朝再度の退却をはじめた。
今度は身軽な旅だった。