●「続・知られざる日豪関係」(626)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 大金庫や役所の記録類は丘の斜面に掘ったトンネルの中に隠した。
 一行は道案内の偵察員二人と一二人の人夫、コックのマイクに助手、それに自らしんがりについたクレメンズ自身だった。
 その日と翌日、彼らは雨に打たれ、泥の中をすべったりころんだりしながら奥地へ奥地へと進んだ。
 暑さがひどくて、服は汗でびしょぬれになり、のどはカラカラになった。
 やっと六日の夕方、一行は数百フィートの高さで、わずか四フィート幅の細い尾根でまわりの丘とつながっている歯のような岩にたどりついた。
”歯”の上にはブンガナという小さな集落があった。