●「続・知られざる日豪関係」(663)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”ステーキと卵”の続き


 スタキキの谷間にいるマクファランは、こうした情景を見るわけにはいかなかったが、砲声を聞き、艦載機の波を見ると、すぐにそれが何を意味するかを理解した。
 悩みぬき、待つだけの日々がこれで終ったのだ、フェルトの約束は正しかったのだ、解放はすぐそこまで近づいてきた、と彼は思った。
”洞窟”にかくれていたローズもマタンガのクレメンズも砲声をきき、米軍機の群れを見ることができた。
 そして何ともいえない解放感を味わうのだった。
 クレメンズが無線機のダイヤルをまわしてみると艦載機の専門用語とアメリカ式の俗語がとびこんで来た。