●「続・知られざる日豪関係」(746)
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”よき羊飼い”
島の南海岸で無線監視所のよい場所はどこかと尋ねられたので、彼はすぐにハンター岬をあげた。
いずれは日本軍がそこを見つけるにちがいない以上、はじめからそれを言っておいて、信用を高めようとしたのである。
この戦術はうまくいった。
石本は彼をよき協力者と考えたらしく誓約を求めることすらしなかった。
会見は終り、神父は現住民のボーイに、日本軍将校たちを渚のボートまで案内していくよう命じた。
彼らは送りながらガリ方言で口汚くののしった。
「やつらオームの匂いがするぜ」、と一人の現住民は、将校たちが礼を述べたとき嬉しそうに叫んだものだ。