●「続・知られざる日豪関係」(763)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”よき羊飼い”


 まず、座り心地のよい椅子に座ってスコッチと氷でのどをうるおし、それから熱いシャワーと清潔なシャツ、豪華な夕食を供された。
 アメリカ軍が上陸したのちゴールドリッジに戻ると、隠しておいた物資がまた手に入り、それにヘイがマライタ島から連れて来たコックは申し分ない料理技術の持主だった。
 スタキキの谷における暗い日々は終り、ふたたびバターは氷の上にのって出て来たのである。
 九月一八日、クラークは相変わらずゴールドリッジでくつろぎながらウォ―デンをアメリカ軍陣地へ連れていく機会を狙っていた。
 その時マクファランの偵察員が二人、恐ろしいニュースを持ってかけこんで来た。