「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”よき羊飼い”
だが、その日が過ぎると、もっと悪い報せが来た。
ローズからの無線によると、日本軍が南岸に移動しつつあり、司教と伝道者たちはタンガラレを放棄している。
ローズとシュレーダーも送信機をこわして撤退するつもりだ、とのことだった。
そして次の日の朝事態は一層悪化した。
伝道者たちはジャングルの中へちりぢりになり、ローズ自身もその夜カヌーで南へ向うことにしたという。
翌二〇日、マクファランはKEN局に無線で救助の手段を講じるよう頼みこんだ。
二、三時間たってよい返事が来た。