●「続・知られざる日豪関係」(765)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”よき羊飼い”


 だが、その日が過ぎると、もっと悪い報せが来た。
 ローズからの無線によると、日本軍が南岸に移動しつつあり、司教と伝道者たちはタンガラレを放棄している。
 ローズとシュレーダーも送信機をこわして撤退するつもりだ、とのことだった。
 そして次の日の朝事態は一層悪化した。
 伝道者たちはジャングルの中へちりぢりになり、ローズ自身もその夜カヌーで南へ向うことにしたという。
 翌二〇日、マクファランはKEN局に無線で救助の手段を講じるよう頼みこんだ。
 二、三時間たってよい返事が来た。