●「続・知られざる日豪関係」(766)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”よき羊飼い”


 PBY飛行艇を二機タンガラレに送って、二八日に伝道者と監視員の全員を拾うというのだった。
 ローズとシュレーダーは無線機を荷造りして洞窟を出ると、ヒラボ川を下って海岸へ向った。
 ここで彼らはE・H・ファーナム少尉を拾い上げたが、彼は陸軍の戦闘機パイロットでラボロ沖で日本の戦闘機に撃墜されたのであった。
 やがて三人はペリッセの酋長が所有する二〇人乗りの大型カヌーに乗りこみ、美しい月明りの中をこぎ出していった。
 二四日の明け方タンガラレに上陸すると、ローズはすぐに一〇分ばかり歩いたところにあるツプナ丘に無線機を設置した。
 この距離なら日本軍が現われた時、伝道者たちがまごつくことはないだろう。