●「続・知られざる日豪関係」(767)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”よき羊飼い”


 一方、ゴールドリッジで波長をあわせながら、クラーク神父は最新の情勢を整理して、検討を加えていた。
 四人の伝道者はまだタンガラレに残り、他はあちこちに散らばって危険な状態にある。
 もし彼らを二八日に疎開させようとすれば、準備しなければならぬことがたくさんある。
 エメリー・ド・クラークほどすぐれた組織者はめったにいない。
 彼はすぐにタンガラレに帰ろうと決意した。
 ビル・ウォーデンは安全な場所に届けたし、エドメイ修道女は一日かそこらで助けられるだろう。
 もう彼をここにひきとめるものは何もなかった。
 ナラの男からガイドの志願者が四人出たので彼らを前方に、神父自身の偵察員を後方に従えて朝食後に出発した。