●「続・知られざる日豪関係」(771)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”よき羊飼い”


 そのころルンガでは、ヒュー・マッケンジーがすっかり腹を立てていた。
 司令部がPBYを送る計画を二度もキャンセルしてしまったからだ。
 飛行機はほかのもっと緊急な任務にまわす必要があったのだろうと思われたが、日本軍は確実に海岸を南下していた。
 急いで救出しないと、ローズもシュレ―ダーも捕まってしまうだろう。
 師団は彼らがもたらす情報の価値を認めているとしても、戦争遂行のためにやむを得ない損失として考えているように思われた。
 マッケンジーはそうした考えを受けつける気にならなかった。