●「続・知られざる日豪関係」(862)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


  “東京急行”を撃滅せよ


 彼自身もニュージョージア島セギ・ポイントにいる監視員のドナルド・ケネディの仕事を手伝っていた。
 そして自分の見た艦船や飛行機をこと細かに記録し、近くの島々に現住民の通報者を配置し、カヌーで定期的にケネディへ報告を送っていた。
 送信はできなかったが、手持ちの短波ラジオを通して暗号通信を受け取ることができた。
 しかもシルヴェスターは自分自身のコールサインも持っていた。
 それはMSF ── つまりファーランドの頭文字であった。
 さて話を聞くと牧師はすぐカヌーをセギ・ポイントに派遣して、新しい送信機が欲しいというジョスリンの希望を書いた通信文を持たせてやった。
 それはKEN局へも転電する必要があったので、返事を待っている間、ジョスリンは伝道所の生活にすっかりとけこんでいた。