●「続・知られざる日豪関係」(864)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


  “東京急行”を撃滅せよ


 ともあれジョスリンは三〇日の午後7時に出発した。
 彼は行動を夜だけに限って集落から集落へと少しずつ移動して行った。
 各集落で新しい漕ぎ手とカヌーを確保したが、それはいつも集落で最良の人材と器材だった。
 シルヴェスター師のコネはまるで奇跡のように思われた。
 最初の夜、彼はベラ湾を渡り、ブラケット海峡を下り、ワナワナ礁湖に入った。
 マンドウ集落で日中身をひそめてすごし、レンドバの浜にある日本軍宿営地の灯りを眺めた。
 日が暮れると再び出発した。
 日本軍の舟艇がひっきりなしに人員や物資を輸送しているのにぶつかったので、それを避けながら少しずつ進むことになった。