●「続・知られざる日豪関係」(865)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


  “東京急行”を撃滅せよ


 エンジンの音が日本軍の接近を教えてくれたが、暗闇の中で音を聞き分けるのは骨が折れた。 
 ある舟艇は二〇ヤードも離れていないところをポッポッと音をたてて通りすぎて行った。
 やっとルビアナ礁湖についてそこで彼らはケネディがよこした三〇人乗りのカヌーに迎えられた。
 礁湖を出る時に一つだけ障害が残されていた。
 日本軍はニュージョージア島の最南端に近いビル湾に前進基地を建設中だったから、その近くを通るのはかなりの危険性を伴っていた。
 そこで、少し西へそれてカヌーを降りると、ジョスリンはニュージョージア島を徒歩で横断し、マロボ礁湖の近くの北岸にたどりついた。
 ここで夜が明けたので、また暗くなるまで身をかくしていた。