パブと女性 

 

 ミニスカ−トから、すんなりと伸びたきれいな脚。思いっきり短いミニだ。パブに入ってきたその若いOLらしき娘さんは、コップ片手にダベリまくっている男性たちをかき分けるようにしてカウンタ−に行き、チケットを買い求めた。
 昼食を取るのだろう。テ−ブル席が設けてあるコ−ナ−ヘ行った。その一角には、じゅうたんも敷いてある。ウエイトレスにチケットを渡してから彼女は席を立ち、再びカウンタ−へ・・・。
 両手に、なみなみとビ−ルの注がれたコップを持って席に戻ってきた。そして、コップをテ−ブルに置いてゆっくりと腰を下ろしたかと思うと、ビ−ルを「ゴクゴクゴク・・・。」
 続いて、もう一つのコップを口に運んで、これまた一気に「グイ−ッ!」。
 私はびっくりしてしまった。うら若き女性が、真っ昼間からビ−ルを飲んでいるのだ。それにしても、なんというみごとな飲みっぷり!
 その彼女は、ハンカチでちょっと口をぬぐってファッション雑誌を取り出し、熱心に見入っている。やがて、注文した食事が運ばれてきた。
 彼女は、このパブでたっぷり1時間かけて昼食を済ませた。

 パブで食事をするには、パブと客との間に“暗黙の約束ごと”がある。パブでの昼食は「カウンタ−・ランチ」と呼ばれる。この名前からも分かるように、もともとはカウンタ−の前で立ち食いするものだった。だから値段も安い。今では「値段が安い」という利点はそのまま残して、立ち食いではなくテ−ブル席で食べさせてくれるパブも増えた。
“暗黙の約束ごと”のもう一つは、「カウンタ−ランチを食べる際には、最低コップ2杯のビ−ルをオ−ダ−すること」。若いOLがビ−ルを2杯引っかけたのに驚いた私だが、後で友人からこの“約束ごと”を教えられて、「なるほど」と納得した。
 (注) その後日本も変わり、「焼酎をあおる女性も珍しくなくなった」とのこと。今だったら、この超ミニ姿のオ−ストラリアのOLの飲みっぷりにも、少しも驚くことはない・・・。