「夕霧の丘」の続き

 

親友の別荘で過ごした一日はとても楽しかった。例によって、半頭分のラムを始め、牛肉やソ−セ−ジなどを焼き上げるのに男性軍が大活躍したのは言うまでもない。
 ここで、私が「大恥をかいたこと」について詳しく説明する。
 彼の別荘に着いたときの話しだ。前の晩、風邪気味だったのに「かねてからの約束だから」と、この国の“もの書き”と無理をして飲んだのがたたったらしく、ひどい二日酔いだった。
 我が家から65キロほどのドライブだったが、後半は山道ばかりでヘヤピン・カ−ブが多く、運転するのに神経をすり減らした。二日酔いでおよそ1時間半もハンドルを握るのは、決して楽ではない。いや、かなりきつかった。だから、親友の別荘が見えたときには、ホッとして体中の力が抜けてしまった感じになった。
 私は、どこへ行くにもスチ−ルとム−ビ−・カメラ、それにテ−プ・レコ−ダ−を必ず携えていたので、この日もこれらを車に積み込んでいた。
 ほかの荷物といえば、我が家で用意した日本料理の入った大きなピクニック用のバスケットと飲み物を入れたアイス・ボックス。あまり多い荷物ではない。
 本来なら、これらは男性である私が運ぶべきなのだが、この日ばかリはそんな気力はまったく失っていた。仕方なしに、女房と息子がが2回に分けて親友の別荘まで運ぶことにしたのだが・・・。これが“悲劇の始まり”だった?