「学園祭で」の続き

 学園祭当日は、すばらしい天気に恵まれた。この日の主役は、日本のPTAに当たるマザ−ズ・クラブの母親ではなく、「父親たち」だった。
 学園祭にやってくる人々は、早くも夏の服装だ。裏方を務める私たち父親の「ふだん着姿」とは対照的に、みんな盛装している。
 れんが造りの校舎の五つの教室を使った会場は、どこも“品物”のヤマヤマヤマ・・・。植木(草花)や造花、子どもの洋服、テ−ブル・クロス、エプロン、キャンデ−入れ、縫いぐるみ、鍋敷き・・・。いずれも、生徒の保護者や姉妹たちが作ったものだ。
 私の妻は、折り鶴を五つずつ糸に通したものを10本ほど下げて行ったのだが、会場に到着する前に「買い手」がついてしまった。
 ともかく、バザ−への出品物にはそう高い値段はつけられない。図書室に寄贈する本の購入資金にするには、もう一つパンチに欠ける。そこで、私たちは、あらかじめ相談して、学園祭にやってくる人々の“胃袋”に狙いをつけることにした。食べ物はもちろんだが、何しろ湿度が低く、のどが渇くので飲み物の方も十分に期待できる。
 学校には、校舎に併設された「キャンティ−ン」と呼ばれる売店がある。マザ−ズ・クラブが、日ごろ活動拠点としているところだが、ここを「精いっぱい活用しよう」と決めていたのだ。