「学園祭で」の続きの続き

 父親たちが狙いを定めたキャンティ−ンは、生徒に「昼食を提供するところ」でもある。業者がここに食べ物を納入し、母親たちが交代で教室に届ける。その中身は、ホット・ドッグやミ−ト・パイなど。これらは有料だが、昼食時ともう一度配られる牛乳(とてつもない大瓶)は無料だ。ちなみに、教科書は貸与され、宿題など一切ない。だから、教科書は教室の机の中に置いたまま下校する。また、ノ−ト代わりに学校からざら紙を与えられるので、この国の小学生たちにランドセルは不要だ。
 話は少しそれたが、ふだんは優しいお母さんたちが受け持つキャンティ−ンも、学園祭の当日はいささか様子が異なる。むくつけきおやじどもが、「おい、何が欲しいんだい!」とぶっきらぼうに子どもたちの注文を聞く。お昼近くになって、キャンティ−ンの前には長い行列ができた。私も、何人かの父親たちとともに「販売係」として頑張っていた。よく晴れたせいか、ソフト・ドリンクは飛ぶように売れる。正に、「期待通り!」だった。
 食べ物には、いつものホット・ドッグとミ−ト・パイに加えて、「パスティ」という肉まんじゅうもメニュ−に入れた。とにかく、すさまじい売れ行きだ。日ごろから「力仕事は男の役割」と自覚している父親たちにとっては、少しも苦にならない様子?。全員が汗だくになり、てんてこまいの忙しさだった。
 この日、親友の弁護士は“キャンティ−ン営業”の責任者になっていた。だから、それぞれの「商品」の 売れ行き具合をにらみながら「追加注文」などの気配りもしなければならない。“やじ馬気分”で参加した私と違って、かなりの重労働だったはずだ。
 かくして、父親たちの大奮闘で「創立50周年を祝う学園祭」は無事終了。学園祭以前に行われたさまざまな募金活動と合わせて、総額2、000ドル(80万円)の図書購入資金を学校に贈ることができた。(家庭内だけではなく、こういうところでも、この国のオトコたちは活躍するのだ・・・)。