メイト・シップ

 体験談を書く」という私の趣旨には反するが、これについてはどうしても触れておかなければならない。
 オ−ストラリア生まれの作家で評論家でもあるC・マグレイガ−は、その著書「オ−ストラリアのプロフィ−ル」の中で、オ−ストラリア独特の「メイト・シップ(マイト・シップ)」について次のように述べている。
「オ−ストラリアでは、男同士の間に、非常に古い伝統である“メイト・シップ”が存在するが、これは、1890年代の作家・ヘンリ−・ロ−ソンによって特に美化されたものだ。
 現在では、婦人がある程度の地位を獲得したため、メイト・シップはすたれてしまったようにみえるが、軍隊の中では以前よりずっと強くなっている。また、一部の労働者の間では、いっそう重要な存在になっている(中略)。それが、ホモ・セクシュアリティに結びつくものかどうかはともかくとして、男同士の友情というものは、男女間のそれよりもはるかに大切なものである。オ−ストラリア社会では、婦人は、(友人や仲間としては)他の国の婦人たちよりも重要視されていない」・・・。