「メイト・シップ」の続き


「メイト・シップ」。オ−ストラリアの男たちが、よく口にする言葉である。“相棒精神”、あるいは“仲間意識”とでも言ったらいいのだろう。
 メイト・シップは、開拓時代、厳しい自然環境に立ち向かって生き抜いた男たちの間に生まれた言葉だ。未開の地にやってきた人々は、強い連帯感を持たなければ、次々と襲ってくるさまざまな困難を克服することはできなかったであろう。仲間意識を大切にして、互いに助け合い励まし合うことがなかったら、広大なブッシュや砂漠地帯を緑豊かな牧場に変えるのは不可能だったに違いない。
 こんな記録がある。「ひとヤマ当てよう」と、二人連れでやってきた鉱山師(やまし)がいた。ところが、その一人が急死してしまった。生き残った相棒は、彼を埋葬すると空を仰いで、「神さまというものが本当におられるなら、この男のことをよろしくお頼み申します。何しろ、オレの相棒だったもんで・・・」と祈ったという。
 この話しは、「メイト・シップ」を理解するうえで少しは役に立つかもしれない。