「生きているその精神」の続き  

 移住してきたカップルのこの発言について、私の友人の一人は次のように“解説”してくれた。
「たとえ、たまたまエレベ−タ−に乗り合わせたに過ぎなくても、ジ−ッと黙っているのは大変失礼に当たるんだ。だから、ほんのわずかな時間でも何か喋らなければならないのだ・・・」。
 私の車に乗り込んできたヒッチ・ハイクのアメリカの大学生は、「世界中で、この国ほどヒッチ・ハイクのしやすいところはありません。みんな親切で、思いやりがあるんですね」と話していた。
 メイト・シップは、もともとは男同士の友情を示す言葉だから、親しくふるまうものをすべて「メイト・シップ」とするのは正しくないだろう。だが、こうは言えないだろうか?本来は、「男同士の仲間意識」を意味するものだが、いまや性別や年齢などの枠が取り払われて、その精神はオ−ストラリアのいたるところに息づいていると・・・。
 いずれにしても、見ず知らずの間柄でも、ひと言ふた言交わせば、直ぐに仲良くなることにかけては、オ−ストラリア人の右に出る国民はいないだろう。