「ジョ−ク」のさらに続き  

 銀行強盗を装った二人の若者の場合は、「冗談のやり過ぎ」と言えるが、逆に「冗談と受け取り過ぎた」例もある。「人がいい」、あるいは「おおらか」と言うのか、犯人たちはそういうオ−スとラリア人気質を十分計算したうえで、白昼堂々6、000ドルもの大金を、港に停泊中の船から奪ったのだ。
 「三人組の犯人は、ピストルを片手に覆面姿をしていた。ところが、これを見ていた大勢の港湾労働者は、ピストルの怖さにおびえるどころか、ただゲラゲラ笑いながら犯人たちを眺めていたという。
 この強盗事件は、港湾労働者に給料が支払われる直前に起こった。間もなく、船内の一室で給料が手渡されることになっていた。そこへ、港湾労働者と同じ格好をした強盗が押し入り、会計係を船室に閉じ込めて給料袋の入った箱を持って船の渡り板を悠々と降り、逃げて行ったとうのである。その場にいた港湾労働者は、自分たちの仲間が冗談で強盗のまね事をしていると信じ切っていた。警察官が到着して初めて、彼らが“本物の強盗”だったことを知ったという。(「ジ・エイジ」1971年4月23日)」。

 人が笑うには、何か「笑いを引き出すもの」がなければならない。わけもないのに笑ったりすれば、他人から薄気味悪く思われるし、バカにされるだろう。オ−ストラリアの人々が腹の底からよく笑うのは、ジョ−クがしょっちゅう飛び交うからだ。そのジョ−クが“ダジャレ”であっても、笑うきっかけになれば中身はどうでもいいようだ。