サ−ビスへの気遣い(5)

 オ−ストラリアでは、クリスマス・イウ゛もクリスマス当日も、どの家庭でも厳粛に過ごす。だが、大晦日はまったく反対だ。ダンス・パ−ティ−やガ−デン・パ−ティ−などを開いて、短い夏の夜を精一杯エンジョイする。
 証券会社に勤める友人は、毎年大晦日に近所の仲間や会社の同僚を招いて、「ニュ−イヤ−ズ・イブ・パ−ティ―」を開いている。ふつうのパ−ティ―よりも盛大で、この夜は私たちを含めて20組以上のカップルが招待されていた。
 ふだんは広く感じられる応接間だが、これだけの客はとても収容しきれない。隣の部屋も使って、賑やかな酒盛りが始まった。
 このパ−ティ−の裏方を務めたのは、この家の主人と親友の弁護士、そして私の三人。
 50人以上の参加者の飲み物の注文に応じるのは決して楽ではない。ウイスキ−やビ−ルを飲む紳士たちはほっておけばいいのだが、難しいカクテルを求めるご婦人方にはかなりてこずった。頻繁なお代わり、そして、カクテルのべ−スとなる飲み物を、「もっと多くしろ」とか「少なくしろ」とか、とにかく“細かな注文”がつくのだ。
 この夜、淑女たちがきこしめしたアルコ−ルの量は、紳士たちのざっと三倍だった?・・・。