サ−ビスへの気遣い(7)


 プレ−ヤ−からラジオに切り替えた瞬間、「間もなく、ニュ−イヤ−ズ・デイです」のアナウンスに続いて「ポ−ン」という午前零時の時報が・・・。まことにみごとなタイミングだ。「新年おめでとう」のあいさつに続いて、今度はキスの雨が降る。
 この夜のラジオは、「新年まで、あとわずか20分です」。「15分です」。「10分です」と、小刻みに時間を知らせていた。だから、初めからダイアルを合わせておけば、“決定的瞬間”を逃す心配などなかったはずだ。
 ステレオの音楽を聴かせておいて、タイミングよくラジオに切り替える・・・。
「それにしても」と思う。一杯機嫌で客のために飲み物を作りながら、正確に「時報」を流すあたり、十分に計算し尽くされた心憎い演出だ。同時に、遊び方・遊ばせ方が身についていると言わなければならない。
 私たちと一緒に飲み物を作っていたのに、彼はずっと“時間”を意識していたのだろう。彼が時計を気にしている気配など、まったくなかったのだが・・・。(これは、私自身が鈍感だから?)。