メルボルン・カップで
「遅かったじゃないか。大穴でも当てて、馬券公社がお金をそろえるまで、長い時間待たされたんじゃない?」
牧場主で馬の歯医者をしている赤ら顔の友人(建国記念日に開かれた「バッチャラ−ズ・パ−ティ−」で知り合った)が、金髪をかきあげながら声をかけてきた。
「お久しぶりね、二人ともお元気?」
こう出迎えてくれたのは、彼の奥さんだ。グリ−ンのワンピ−スに、つばの広いクリ−ム色の帽子。チョコレ−ト色をしたサングラスがよく似合う。
この日、私たちは親友の弁護士とともに、メルボルン・カップの主催団体「ウ゛ィクトリア競馬クラブ」のメンバ−である“馬の歯医者さん”ご夫妻に招待されていた。
そして、メイン・レ−スの「メルボルン・カップ」が終わったところで、クラブの中庭で開かれる彼の一家のパ−ティ−に参加することになった。
広大なクラブ・ハウスの庭には、毛足の長いじゅうたんのような緑の芝生。はるかかなたに見えるしょうしゃな建物。手入れの行き届いた庭木・・・。
快晴に恵まれたせいか、緑が痛いほど目にしみる。
このみごとな庭をそぞろ歩くご婦人方を、カメラと8ミリ・カメラに納めた。