「メルボルン・カップで」の続き

 メルボルンカップ・デイは、ご婦人方にとっては「ニュ−・モ−ドの発表会」、あるいは「ファッション・ショ−」をも兼ねているようだ。上流社会のご婦人方が、この日のために作らせたご自慢のトップ・モ−ドのドレスを身に着けて競馬場へやってくるからだ。いずれも個性あふれたファッションで、ウ゛ィクトリア朝時代を思わせるコスチュ−ムから背中丸出しの当世風のものまで、実にさまざまである。
 そんなご婦人方にカメラを向けると、必ずと言っていいほど、何の注文もしないのにあれこれポ−ズをとってくれる。それぞれが、まるで「ファッション・モデルではないか」と、錯覚するほど“サマになっている”のだ。
 私たちを招待してくれた“馬の歯医者さん”から、次々と彼の友人を紹介された。この日集まったのは、彼にふさわしく、“陽気で賑やかな人物ばかり”だった。中でも、日本で3年間暮らしたというカップルとオ−ストラリア・バレ−団の一員として日本で三カ月公演した女性が印象に残った。彼らとの話題が、日本の思い出に集中したのは言うまでもない。新幹線や地震、満員電車・・・。共通していたのは、「日本人は、みんな親切だった」ということ・・・。