テレビ・ワ−ク(11)

 

 そのジムに紹介されて、地方都市にある国営放送局の支局を訪れたことがある。その放送局のスタジオを案内してもらったときに、おもしろい経験をした。テレビ・スタジオを案内してくれる人とラジオ・スタジオの案内者が、別人であったことだ。
 そればかりではない。ラジオ・スタジオを案内してもらっているとき、ワインの空き瓶を積み上げたテレビのセットらしいものに遭遇した。
 ワインの空き瓶は、“芸術的”としか表現できないほど、みごとに積み上げられていた。たぶん、このセットの前で誰かが歌うのであろう。そんな雰囲気が感じられた。
 そこで、念のために尋ねてみた。
「これは、テレビのセットでしょう?どんな番組に使うのですか?」
「申し訳ありません。その件に関しては、ラジオ・スタジオの案内が終わったら、テレビの関係者をご紹介しますから、その者に聞いてください・・・」。