テレビ・ワ−ク(12)

 

 こんなこともあった。テレビ・スタジオを見学しているとき、ビルの窓からテレビの中継車が見えた。
 そこで、「中継車の内部を見たい」と頼むと、すぐさま案内してくれたが、私が中継車の本体に接続されていた小型の電源車の性能について尋ねると、今度は車両係のところへ連れて行かれた。
 とにかく、自分の領域以外のことを生半可な知識で答える習慣はないようだ。あくまでも、責任ある立場の人間が責任を持って応じるのだ。
 この支局での経験で、テレビ・ディレクタ−のジムが、「うっかりカメラ・マンに注文をつけようものなら、パンチをもらってしまうよ」と言ったひと言が、決してオ−バ−ではなかったことが理解できた。
 テレビの世界でも、いろいろな点で、やはりオ−ストラリアと日本とではずいぶん違いがあるようだ。