テレビの周辺(3)

 

 記事は続く。
「夜7時のニュ−スが始まって10分ほど経過して、ちょうど南アフリカの人種差別政策に反対するデモのニュ−スを伝えている最中に、彼は突然口が利けなくなってしまった。
『それは驚いたのなんの・・・。これまで私の身に起こった出来事の中で、これほど仰天したことはありません。なぜなら、私はほんのひと言たりとも話すことができなかったからです』。
 ボブ自身のコメントである。
 この新聞は、ウ゛ィクトリア州の各地でこのニュ−スを見た人たちの話も紹介していた。
「ボブが1分間以上も、死に物狂いで咳き込み、水をがぶ飲みする姿を見たよ。それから画面が暗くなって『こちらはABCテレビです』の文字が出た。
 3分も経たないうちに、いつもは番組と番組をつなぐアナウンサ−をしているピ−タ−・マッカ−サ−がボブの代わりに画面に登場して、ニュ−スを読み続けたんだ・・・」。