テレビの周辺(4)

 

 このとき、舞台裏でどんなことが起きていたかについても、新聞は触れている。
「代役を務めたピ−タ−は、たまたま局の食堂でミ−ト・パイを食べていた。
 そこへスタッフが飛び込んで来て、いきなり彼をスタジオにひっぱり出そうとした。
 彼は、襟に毛皮のついた厚手のコ−トを着ていたが、慌ててボブのス−ツの上着に着替えた。サイズが合わず少しきつかったが、ぐずぐずしてはいられない。
 ピ−タ−は、生まれて初めて、下読みなしの“ぶっつけ本番のニュ−ス”に挑戦した。
 一方、ボブは、ディレクタ−のだぶだぶの上着を借りて7時25分に再び画面に登場し、快くニュ−スを引き受けてくれたピ−タ−に感謝とお礼の言葉を述べた」。
 ボブは、記者の質問に答えて、次のように話している。
「『“水を飲むのはよくない。つばが出るように塩をなめればいい”、あるいは“はちみつとレモンの方がいい”と教えてくれた人もいました。でも、残念ながらスタジオの私のデスクには、そういうものは一つも見当たりませんでした』。
 なお、ボブはピ−タ−に代わってもらってから間もなく回復した」。