テレビの周辺(7)

 

 何を血迷ったのか、スイッチャ−が、突然「天気図」から、体を折り曲げてメモを拾い上げている彼女の画面に変えてしまったのだ。
 スタジオのモニタ−に映る自分の姿に気づいた彼女は、「オウ、ノウ!」と叫ぶなり、絶句した。あとはしどろもどろの解説となり、高気圧や低気圧の位置も、風向き、気温などもすべてメロメロに・・・。そして、番組が終わったとたん、「やっと終わったわ!」と、ため息をついたのである。
 翌日も同じ都市に滞在できたのは、ラッキ−だったと言うべきか。前日のハプニングの続きが見たくて?「天気予報」が気になっていた。この日の担当も、前日の“美人アナ”だった。物腰から判断すると新人らしかったが、よどむことなく、みごとにお天気番組をやってのけた。
 だが、このあとがいけなかった。「ああ、よかった。今日はうまくできて・・・」
 この日もまた、意地悪なマイクが彼女のつぶやきを拾ってしまった。