テレビの周辺(6)

 

「ああ−、やっと終わったわ!」
 日本語にすると、こんな意味になるだろうか。美人アナウンサ−は、マイクが“イキている”のも知らずに、大きなため息をつきながら、こうつぶやいた。
 旅行先で翌日の天気が知りたくて、地元の商業放送局の天気予報にチャンネルを合わせた。
 アナウンサ−の顔を延々と写すニュ−スと違い、いくら美人でも、天気予報の番組ではそういうことはない。「今日の天気図」の説明が済んで、「明日の予報図」の解説に移るところだった。彼女は、ここでもう一度美しい顔を見せてコメントしてから、明日の天気図について説明するはず?だった。ところが、カメラに撮られた瞬間、「何を話すべきか」を忘れてしまったのか、「アア、オウ」と言うだけで、言葉が出てこない。
 彼女の“異変”に気づいたディレクタ−が、慌ててカメラを天気図に切り替えたのは正解だった。だが、こういうときには、ミスが重なるもののようだ・・・。