テレビの周辺(9)

 

 アメンダは、父親の担当するスポ−ツ番組を見ながら、寂しそうにつぶやいた。
「パパのお仕事、早く終わらないかなあ・・・」。
 試合が長引いたため父親の帰りは遅れ、アメンダはイライラしていた? すると、中継放送が終わる直前だった。カメラに向かって父親が、
「アメンダ、誕生日おめでとう!パパは、今から急いでお家に帰るからね!」
 自分の帰りを待つ娘に示す“精いっぱいの愛情表現”だったのだろう。
 次の月曜日、学校でアメンダのクラスメ−トの一人が、担任の先生に質問した。
「アメンダのお父さんが、テレビでアメンダに『お誕生日、おめでとう!』と言ったのは、いけないことかもしれないと、うちのママが言っていました。アメンダのパパは正しかったかどうか、先生に聞いてくるようにって・・・」
 先生は、ニッコリ笑って、そのクラスメ−トに答えたそうだ。
「アイム・ソウリ−。アイ・ドント・ノウ・・・」(ご免なさい。先生には分からなくてよ・・・)」。