テレビの影響(3)

 

 一方、コ−エンさんらの調査の対象外だった国営放送局の方はどうかと言うと、平日の午前中は、幼児向けの番組を2本放送するだけで、あとはテスト・パタ−ンを延々と流す。午後も、短いテレビ・ニュ−スを放送したあと、夕方まで電波は止まってしまうのだ。
 国営テレビを見るのは、視聴者のわずか20%。残りの80%の人は、商業テレビを見ているという。
 当時のオ−ストラリアのテレビは、まだ白黒放送だった。しかも、放送時間が短い上、内容も決してすぐれているとは言えない。
 それでも、テレビは家庭に少なからぬ影響を与えているようだ。
 ある日の国営放送の「テレビと家族」という番組で、次のようなことが話されていた。
「以前は、家族みんなが集まってテ−ブルを囲み、お喋りをしながら夕食を楽しんでいた。食事が済んだあとは、その日の出来事を話し合ったり、意見を交換したりする“家族団らん”の場だったが、今はすっかりテレビに奪われてしまった感じだ・・・」。