テレビの影響(6)

 

 私が興味を示すには、「理由」がある。デパ−トなど人の集まるところで、「カラ−・テレビ」ならぬ「カラ−・ビデオ」の公開があると、黒山のような人だかりがするからだ。「日本では、カラ−・テレビが普及しているんですって?」という質問は、耳にたこができるほど聞かされた。カラ−・テレビに対するこの国の人々の関心が、きわめて高いことが分かる。
 この点を親友の弁護しに尋ねてみると、「要するに、テレビを支配するか、テレビに支配されてしまうかの問題だろう」と、いとも簡単に答えた。
 彼の家では、テレビを見る時間を厳しく制限しているので、テレビがあってもマイナスの影響を受けることはほとんどないという。親友は、さらに、
「カラ−・テレビになったところで、私の家族の生活が大きく変わることはないと思うよ。もし変化が起きそうになったら、そのときはテレビを売り払うまでさ。
 何しろ、家のペンキ塗りや芝生の手入れ、皿洗い、買い物など、やることがいっぱいあるので、テレビの前でじっとしている暇なんて、そんなにないと思うよ・・・」。