のんびり消防車(1)

 

 ある晩秋の一日、あまりにもきれいな夕焼け空に誘われて、メルボルンの中心街(シティ)に出てみた。人口254万余り、オ−ストラリア第2の都市メルボルンは、この国の経済の中心地で、大企業が多い。オ−ストラリアは、世界で最も人口の希薄な大陸の一つだが、メルボルンは、サラリ−・マンの出勤時間と昼休み、それに彼らが家路につく夕方は 活気あふれる街になる。
 日中のお年寄りばかりの“眠れる街”から、色鮮やかなファッションに身を包んだ若い女性や若者たちの軽やかな足どりが目につく“躍動する街”に変ぼうするのだ。
「ピ−ク・アワ−の込み方にかけては、世界でも有数」と言われるフリンダ−ス・ストリ−ト駅前。“超過密都市”東京で鍛え抜かれた私からみると、「何でこれが世界有数なんだ」とあきれるほど?のどかな混雑ぶりを眺めていた。
 美しい紅葉に混じって、緑の葉を付けたままの街路樹も多い。ミニ・スカ−トの足元で小さな音を立てる枯れ葉が、そっと秋の終わりを告げている・・・。