のんびり消防車(4)

 

 時間が経つにつれ、やじ馬の数も大分少なくなった。それどころか、長い時間混雑の続く東京などと違って“つかの間のピ−ク・アワ−”が過ぎたせいか、駅を利用する乗客そのものもすっかり減ってしまった。
 思い切って(しびれを切らして?)ポンプ車のところへ行き、「これが訓練なのかどうか」隊員に確認した。依然として、炎も煙りも見えない。その上、消防隊員たちの「緊張感のなさ」・・・。
「訓練? そんなことはありませんよ。駅の建物が燃えているという通報があったので、出動してきたんです!」
「でも、煙りも見えませんし、ホ−ムの方に行った消防隊員もそのまま帰ってきませんね。誤報だったのでしょうか?」
「さあ、分かりません。何しろこの駅は大きいですからね。まあ、大した火事ではないのでしょう?」。まるで、他人事のように答える・・・。