のんびり消防車(6)

 

 しばらくして、ビル火災の現場に遭遇することがあった。
 幸い、大きく燃え広がることなく鎮火したが、このときの消火活動も、日本人の私から見ると“歯がゆいばかり”だった。緊張感が感じられなかったから?だ。
 帰国後、日本の消防関係者にオ−ストラリアで体験した出来事についてお話しする機会があった。その方の見解では、「保険制度が発達している国では、“人命にかかわる火災”でなければ、あまり積極的に消火活動はしないのでは」というご意見だった。つまり、「消防隊員の生命を第一に考えて、決して無理はしない」という。
 だが、アメリカの映画には、消防士の勇敢な活躍ぶりを描いたものが多い。彼らの勇気あふれる姿に感動したものだが、これも「お国柄の違い?」。確か、アメリカも「保険制度の発達した国だ」と私は理解しているのだが・・・。
 ところで、私がフリンダ−ス・ストリ−ト駅前で遭遇した“幻の火事”騒ぎは、いったいどんな結末を迎えたのだろう・・・。