男の服装(6)

  

「馬子にも衣装」なることわざは、この国でも立派に通用するようだ。
 やはり、「徹底して優雅に楽しむ」には、その場にふさわしい服装が必要なのだ。
 普段は質素な“ナリ”をしていても、いざとなれば精いっぱいのおしゃれを心がける。
 そういう点で、彼らはきわめて“貪欲”だ。だから、少々かばんが重くても一向に苦にならないのだろう。
 同じス−ツをずっと着続けていた私は、彼らに遠く及ばないことを存分に自覚した。
 彼らは、パ−ティ−を楽しむための舞台作りにも熱心だが、その舞台を生かすために自らを演出することにかけても、それなりのエネルギ−を使う。
 オ−ストラリア人のこういう生き方を見ていると、「楽しむこと」にかけては、まったくの「怠け者」であった自分に気づく。
 いつの日か、私も本当の意味での「人生を楽しむ達人」になりたいものだと、つくづく思った。