“湯水のごとく”使わない(1)
「また、芝生を枯らしてしまったら大変ですよ!」
こう言いながら、ブライアンは庭に水をまいている。
彼が水やりしている“中身”は、正確には水ではない。バス・ル−ムでシャワ―を浴びながら苦労してためた“リサイクルの水”だ。
メルボルンの郊外に建てた新居に引っ越して、まだ3カ月。
彼が最初にまいた芝生の種は、全部いたずらカラスについばまれてしまった。
仕方なしに、再び財布をはたいて種を買い求め、「やっと芝生の芽が出てきた」と喜んでいたのだが・・・。そのやさき、不幸にもメルボルン市に「給水制限」が出された。
異常気象で、さっぱり雨が降らないからだ。
「少しぐらい水道の水をまいても、いいんじゃない?」と、“日本人”の私・・・。