人間教育(5) 

  

 親友の勧めもあって、大陸横断列車で西オ−ストラリア州のパ−スに住む彼の両親の元を訪れたことがある。
 私たちの案内役を引き受けてくれたご両親が、道すがらこんな話をしていた。
「今年の夏休みには、孫のロビン(親友の弟の娘)を連れて、シドニ−まで汽車旅行をするんですよ。今から楽しみで・・・。去年は息子(親友)の長女を連れて行ったので、今年はロビン。来年は、息子の長男と一緒に旅行するつもりです」。
 子どもの両親ばかリでなく、祖父母もまた、孫たちのために早くから旅行を計画しているのだ。その旅も、単なるお年寄りの“思いつき”でないことは、話を聞いていればすぐに分かる。親友の父親の場合は、たとえ引退したとは言え、“成功した実業家”だったので、経済的にゆとりがあるからかもしれない。
 それにしても、“人間教育”とは、「一族総がかりでするもの」なのか?