人間教育(8) 

  

「この事件の犯人は、成人しているはずだよね!」
「そう。確か彼は24歳だから、とっくに成人しているよ」
「じゃあ、どうして彼の父親が責任を取らなければならないんだい?」
 当時、この事件はオーストラリアでも詳細に伝えられていた。少し間を置いて、彼は、
「ハハ−ン、日本では成人した子どもでも、何か不始末をしでかしたら、その責任は親にもあるというんだね?」
「その通りだよ。どうして?」
「犯人の青年だけでなく、その子を育てた親の責任も追及されるんだ!」
「そうなんだ。ごく当たり前で、別に珍しいことではないよ」
「と言うことは、子どもが大人になったことを、親も社会も認めようとしないんだ! 成人した子を、大人としてではなく、子ども扱いするんだ、あなたの国では・・・」