社会生活(10)

 
 
 この国の市民運動を通じて意外に思われたのは、マスコミがリーダー・シップを発揮することだ。公害や物価、交通問題、そして助け合いなど、市民の生活と密接に関係する問題については、率先して行動するのだ。
「外国から輸入された洗剤が、人体に影響を与える恐れがある」と報道するだけではない。
 地元の新聞は、毎日のように「どこのス−パーの売り場には、まだ問題の洗剤が何個あった」と調べて、その結果を発表する。そして、店頭から姿を消すと、今度は「どこの倉庫に、まだ多数保管されている」と伝える。とにかく、危険な? 洗剤がオーストラリア国内から完全になくなるまで、徹底して追いかけるのだ。
 この国の新聞記者たちは、勤める会社は違っても同じ労働組合に所属している。
 だから、華々しい? バカバカしい? (失礼)スクープ合戦などに、エネルギーを費やすことはしない。どの新聞も(朝刊・夕刊とも)、掲載される記事はほとんど同じだ・・・。