ピック・アップで助け合い(4)

 

 メルボルンは、クラシックな建物が多いことから「ロンドンに似ている街である」と紹介したが、最近は、ここでも古いビルを取り壊して、高層ビルに建て替える工事が行われるようになった。
「イギリス一色」だったこれまでの風景に、「アメリカ」が加わろうとしているのだ。
 そんな建物が並ぶメルボルンの夕方の街角に、アタッシュ・ケースやハンド・バッグを手にした人たちが大勢立っている。恋人同士の待ち合わせ? それにしては、少し「トウ」の立った「くたびれた」恋人が多過ぎる?
「待ち合わせ」には違いないが、全部が全部、恋人とのデ−トではなさそうだ・・・。
 彼らが待っているのは、恋人ではなく、実は「車」なのだ。郊外にある自分の家まで送り届けてくれる「友人の車」だ・・・。