ピック・アップで助け合い(5)

 

 彼らは、友人同士誘い合わせて一台の車にみんなで乗り、務め先を往復している。
 だから、定員いっぱい、時にはそれ以上? の人間が乗り込んでいる車も見かける。
 労働力が足りない上、託児所などの社会福祉施設が発達しているせいか、この国では共働きが圧倒的に多い。これらの人々にとって、車は手軽で貴重な通勤手段だ。
 スタートの時点ではたった一人しか乗っていない車でも、途中から仲間が次々と乗り込むので、オフイス街を出るまでには「定員いっぱいになる」というわけだ。
 友人同士が、たとえば一週間交代で何人かの仲間を自分の車で送り迎えしている。
 つまり、朝はそれぞれの家を回ってオフィスまで送り、帰りは待ち合わせ場所にいる人々を次々にピック・アップして、家まで送り届けるのだ。
 ストライキ交通機関が一斉に止まったときでも、たった一人しか乗っていない車が圧倒的に多いどこかの国とは、正反対? だ・・・。